ハイキャリアからの転身。本当の自分探し
日本人とインド人の両親を持つ。ミス・ワールド・ジャパン2017準グランプリ となった後、インドやカンボジアにて地雷除去や女性差別、貧困に苦しむ子供達 へ向けてのボランティア活動を積極的に行う。
現在はモデル、アーユルヴェーダアドバイザー、シカルコンシェルジュ、 ヨガインストラクターとして活動。
藤田るみさんのエシカルなライフスタイルをご紹介します。
もともと大手通信会社に勤務されていたとうかがいましたが、
どのような経緯でいまのライフスタイルに転身されたのですか?
また大手企業を退職する際の不安などはありませんでしたか?
N T Tドコモで営業や企画のお仕事をさせていただいた経験はとても有意義で、 今も生かされているので心から感謝しています。ただ、5年間勤めている中で どこかで「ここで自分の”資質”を活かせているのか」について疑問があり、 あまり得意ではないことを頑張ってやっている感を感じていました。
自分だからできることをして、より人の役に立てるものは何かを追求してみたい と思い、頭で考えても分からなかったので「自分探し」「社会での自分の価値確認」 のためにミスコンテストに挑戦しました。そこで同年代のこれまでの自分とは全く 違う生き方をしてきた女性たちに出会い、たくさんの刺激を得て、生き方に関する 視野が広がりました。「いい大学、いい会社、こうしておけば人生間違いない」 というレールや枠組みを取り払う勇気が湧いてきて、次の転職先なども決めない まま思い切って会社を辞めました。手放してみてはじめて見えるものがあるとい うか、手放したからには次のことに本気で取り組む覚悟も出てきました。 ミスコンテストで1番強く感じたことは、「真の美しさは内側から放たれるもの」。
外見がきれいな方は多くて、どうやって1位を決めるのだろう?と思っていまし たが、人を惹きつけるのはその人の生き様とオーラだと気づきました。そこで、 内側を整える大切さを改めて知り、私のルーツにも関係あるインド発祥のヨガや アーユルヴェーダによる内面美に関心を持ちました。会社を辞めてすぐインドへ 留学し、3000年間続いてきた生の学問に触れ、今に至ります!辞める時に不安は 全くなかったと言えば嘘になりますが、その不安よりも「何かを変えたい、やって みたい、行ってみたい」が勝ったので勢いで辞められました。笑 人生1度しかな いし、何かを手放さないと新しいことは入ってこないと思っています。
人生は経験。経験を増やすためなら、不必要な我慢はしないようにしています。
学生時代から多くのボランティア活動をされていらっしゃいますが、
どうしてこのような活動を始めようと思われましたか?
おそらく、インドで生まれて、幼少期からインドやその他の国に両親が連れて 行ってくれたこともあり、「なぜ同い年なのに私とこんなに違うのか?なんで 日本とこんなに違うのだろう?」ということを感じてきたからだと思います。
自分が生きている生活や環境だけが「世界」ではなく、世界中には様々な状況 に置かれた人々がいろんな想いを持って生きているのだということを知ること ができたので、その経験をさせてくれた両親にはとても感謝しています。ボラ ンティアやスタディーツアーの活動を始めたきっかけは、より「多様性」を受 け入れられる自分になりたい、そんな人が日本中に増えて欲しい、という想い があったからです。学生時代はハーフだから、人より背が高いからという理由 でいじめられていたこと(私は暗黒時代と呼んでいます(笑))もありました。
学校や住んでいる地域だけの狭いコミュニティーを一歩外に出ると、無限の多 様性が広がっていて、世界は多様性のバランスで成り立っていることを伝えた い!という気持ちを小学生の頃から持っていました。そこで、大学生になり 「スタディーツアー」を通して同年代の大学生たちに世界の多様な現状を見て、 感じて、考えてもらう活動を行うようになりました。
ボランティア活動を通して、自身の考え方に変化はありましたか?
大きな変化がありました!「幸せの尺度」は自分次第だと知ったことです。
カンボジアのスラムを訪問した際に、そこに住むお母さんと話す機会があり ました。
「何が一番辛い?何があなたにとっての幸せ?」と質問させていただきました。
するとそのお母さんが「私は家族みんなで一緒にご飯を食べている時間が何よ りも幸せな時間です」と答えて、笑顔を見せてくれました。子供たちもみんな 笑顔がきらっきらで元気いっぱい楽しそうに遊んでいたのを覚えています。
その時にハッとさせられました。何が幸せかって社会が決めるものではなくて 自分で決めるものだし、日々の暮らしの中で感じとるものだと。いくら裕福で 教育の機会を与えられても悩みが尽きなかったり不幸に感じている人もいれば、 毎日生きるか死ぬかの過酷な状況下でも日々幸せを感じながら生きている人も いる。
客観的に、貧困層やスラムの子供たちをかわいそうだと決めつけて一方的に ボランティアするのは違うし、むしろあちらから学ぶことの方が多いのだと 気づかされました。
ボランティア活動をされていた当時とSDGsが謳われている昨今で、
貧困の国の様子に変化はみられますか?また、変化のために私たちにできる
こととはなんでしょうか?
2015年のSDGs採択後に貧困国の状況が大きく変わっているかどうかはわかり ませんが、SDGsによって世界中の人々が自分の生活の中で何か地球のために 貢献できることを考えやすくなったと思います!これまでは大きな社会問題解決 のためにはボランティアや寄付をしなければいけないのか?とハードルを感じて いた方も多いと思いますが、SDGsの17のゴールが視覚化されたことによって、 日々の生活の中で購入する消耗品や選択する食事を少し変えるだけでも貢献でき ることがあるんだ!と分かりやすくなりましたよね。また、多くの会社がS D Gs を政策として取り入れ始め、生活の中でかなりの割合を占めている労働時間でも SDGsに貢献できるようになってくるのは良いことだと思います。
私たちがするべきことは、自発的にSDGsやその背景にあることを調べたり一次情報を得るよ うにして、S D Gsウォッシュにならないように、且つ、自分があまり無理しなく ても日々継続してできることを見つけていくことだと思います。
SNSを拝見したところ、プロフィールに「自然の恵みと寄り添って暮らし、
心身ともに健康で幸せに生きるエッセンスを発信していきます。」と書かれてい
ました。現在エシカルアドバイザーなどもされていますが、サスティナビリティー
にご興味を持たれたきっかけや理由を教えてください。
アーユルヴェーダを学んでいる中で、からだの健康と心の幸福を得るためには自然 のリズムを尊重しながら自然と調和して生きることが何よりも大事だと知ったこと がきっかけです。アーユルヴェーダとは、一言であらわすと3000年前にインドで 発祥した予防医学です。病気にならずに長生きするためにはどんな生活をしてどん な食事をとったらいいのかを教えてくれているよりよく生きるための知恵です。
病気になってから、いくら薬でその症状だけを抑えようとしても、薬をやめたら また繰り返してしまったり根本解決にはなりません。そもそも人間はこの大きな 地球の中の一部であり、いろんな自然環境や動物たちや植物たちによって絶妙に もたらされているバランスがあるからこそ生きていられるということを学びました。
季節ごとに旬の野菜が違うのも、その季節の温度や環境によって影響を受けた体の バランスを取るために自然界が生み出しているからです。自然の法則を無視して人が 過度に手を加えてしまうと担保されていたバランスが崩れてしまい、それが不調や 病気となって現れるし、地球の環境を守るためにも同じことが言えると知りました。
産業革命以降、過度な環境破壊が進んでいますが、それによって酸素を生み出して くれている森林や海が減り、動植物が絶滅することで生態系が崩れ、これまでにな かった病気が流行したり食糧不足になって最終的には人類にも影響が及ぶので自分 で自分の首を絞めてしまっています。なので、真の健康と幸福のためには、私たち の暮らしの土台である地球のバランスを守るサステナビリティーは必須です。
自然の恵みと寄り添うことが心身の健康や幸福感につながると感じますか?
またそれはなぜだとお考えになりますか?
私たちのからだ自体が自然を構成している要素で作られているからです。
酸素や水や食物は全て自然界がつくり出しているものであり、それを身体に取り 入れて栄養素にすることで細胞が作られているので自然と人は切っても切り離せ ない関係です。
都会で日々忙しく生活しているとその「当たり前」を忘れてしまい、自然界と自分 がどんどん離れて行ってしまっているのが現代人なのではないでしょうか。
例えば、不安や疲れが溜まっている時に呼吸をゆっくりすると自律神経が整って ストレスが軽減されたり、気分が落ち込んでいる時に太陽光に当たるとビダミンD が形成されて心が元気になったり、森林浴をすると木が放つフィトンチッドによって 抗酸化作用や抗菌作用でからだが健康になります。私たちは自然から力を借りること でからだも心も健康になれているので、その分自然に感謝の気持ちをもって自然を 壊さないように守る義務があると感じています。ギブアンドテイクで感謝の循環を 大切にしていきたいと思っています。
藤田さんのエシカルライフの中で、読者の皆さんが今日から始められそうなことや
おすすめの方法などを教えてください。
まず誰もが始められることは「朝をマインドフルに過ごす」ことだと思っています。
日々行っている日常生活の習慣一つ一つをからだで感じながら目の前のことに集中 して行うだけなので簡単でおすすめです!
朝起きてカーテンを開けた時に太陽に感謝をする。窓を開けて風を感じてたっぷり 深呼吸する。顔を洗ったり歯磨きする時に考え事をするのではなくて、水の冷たさ や気持ち良さを感じる。スキンケアをしながら肌や自分の顔色をじっくり感じる。
温かい白湯を一杯飲みながらほっとする時間をつくる。朝ごはんをいただきながら 食材ひとつひとつを味わい、生産者さんを想像する。朝を丁寧に感謝しながら過ご すと心に余裕ができて、残りの一日がとても充実しますし、自然と地球環境に優し い選択をできるようになっていくと思います。
毎日が様々な「選択」の繰り返しで、選択したことが社会に対して自分の意見を 「投票」することと同じです。どんな服を買うのか、どの洗剤や食材を選ぶのか、 誰とどこに行って何を考えるのか、良い選択は良い朝の過ごし方から生まれていく のではないかと思います。充実した朝時間を過ごすコツは、朝起きた瞬間にスマホ を見ないことです!スマホ見た瞬間に脳内が情報社会にハックされます!笑
最後に、藤田さんにとってサスティナビリティーとはなんですか?
健康で幸せに生きることそのものです。そうやって生きようと思ったら、
地球環境を守り、地球と寄り添っていないとそれが実現できないことに自然と気づいていくからです。
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<profile>
篠田 るみ
2017年 準ミス・ワールド日本代表
早稲田大学卒 NTTドコモ勤務後、フリーランサーへ。
アーユルヴェーダライフスタイルカウンセラー
ヨガ&マインドフルネスインストラクター