~豊かなライフスタイルのために~
イギリスでハーバリストとして生きる
第1回は、メディカルハーバリストのリエコ・大島・バークレーさんをゲストにお迎えして、本場イギリスのメディカルハーブについてや、大島さんが単身渡英を決断したときのお話、独自のトータルケアの考え方についてなど、盛りだくさんでうかがっていきたいと思います!
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大島さん、この度はインタビューありがとうございます!!
よろしくお願いいたします!
まずはじめに、メディカルハーブとはどんなものなのか、教えていただけますか?
メディカルハーブとは、一言で言えば「薬草」の意味を示します。
実はメディカルハーブって和製英語でして、英語で表記する場合「Medicinal Herbs」 や「Medicinal Plants」となります。
薬草と言っても、種類によって薬効の強さは異なります。
一般の方が安心して摂取できるような穏やかな薬効のものから、漢方薬で処方されるような「植物由来の生薬」の強い薬効のものがあります。
日本で認識されているハーブティーなどとは異なる
“お薬”のイメージが強いのでしょうか?
基本「メディカルハーブ」=薬草ということで、一部のハーブ以外は病気の時の処方や体調のサポート的に使われることが多く、嗜好品としてのハーブとは線引きがあるイメージです。
ヨーロッパの道端に生えている馴染みのものから、インドやアメリカから伝わってきた薬草もあります。
文化や地域も影響してくるわけですね。
メディカルハーブを使ったケアにはどんな方法がありますか?
飲用での利用が主流です。チンキ剤(Tincture) という、薬草をアルコール溶液に漬け込み有効成分を抽出した液剤での処方で一番多い剤形です。
また、錠剤、カプセル剤、そして浸剤や煎剤なども利用される場合もあります。
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漢方のようなイメージでしょうか?
ちなみに飲用以外にもケア方法はありますか?
そうですね。日本でいう漢方に近いイメージかと思います。飲用以外にも外用治療に用いられる場合もあります。精油や浸出油など、薬草から抽出した成分を塗布します。
漢方よりも西洋薬草の方が効果があるということなのでしょうか?
どんなハーブを処方されることが多いですか?
いえ、そういうわけではありません。なぜか西洋の薬草の方がその時の私には効果が強く感じたのですよね。どちらの効果が強いというわけではなく、こればかりは「体質」や「その時の体調」などが大きく関与していると思います。
主に西洋、欧米のハーブを使いますが、漢方や中医学で使われる薬草や、 アーユルヴェーダで使われる薬草も処方に取り入れています。
単品で処方する場合もありますが、通常はさまざまな薬草をブレンドさせていただいての処方となります。
人それぞれ症状もさまざまですので、「これが一番使われる」ということを一概には お伝えできないのですが、一般の方が手にされやすいのは
•ストレス対策 アシュワガンダ、ロディオラなど
•不眠対策 パッションフラワー、ヴァレリアンなど
•PMS 更年期対策 チェストペリー、ブラックコーホッシュ、ペオニー、シャタバリなど
などでのハーブかと思います。
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どれも日本では聞きなれない薬草ですね‼
やはり毎日摂取することで体調が緩和されるのでしょうか?
症状によりけりです。
慢性の症状などを改善する際には毎日摂取、そして体調を見ながらハーブの内容も 見直していきながら続けていただきますが、軽症の場合などは毎日摂取する必要が ない場合もあります。
メディカルハーバリストは毎日ハーブを使っているというイメージがあるかもしれ ませんが、実際にそういったことはありません。お薬と同じように、「薬効が強く 副作用が心配されるもの」や「必要がない時には摂取しなくてもいいもの」という 認識です。ですから私自身も必要な時以外はハーブを利用することはありません。
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お話が少し変わりますが、大島さんはメディカルハーブを学ぶために
単身渡英されたと伺っています。どのような経緯や目的で渡英されたのですか?
私は元々ハーブを輸入している会社で働いており、そこでの仕事を長く続けている うちに「お客様へ安心してご提供できるように、ハーブの知識と取り扱いの自信を 持ちたい」と思うようになり、イギリスへの留学を決断しました。
正直「将来への不安」というよりも「しっかり知識を身につけて来よう」という 意気込みの方が強かったです。限られた学びの時間をできるだけ有効に使いたい という思いが高く、事前にプライベートレッスンなどを中心に英語学習をしました。
これが自分にはとても役に立ちました。
「グループ学習の倍以上の授業料を無駄にしない為にも 笑」
留学って目的によって方向性が異なるかと思います。私の場合は「世界を知りたい」 「好きな国を知りたい」といった気持ちではなく、「専門知識を身につけるだけ」の 目的で渡英しました。目的に関する経験や人付き合いなどは濃い毎日でしたが、 英国の一般の方々の生活習慣や考え方、社会情勢などは全くといって良いほど疎 いまま日々過ごしてしまったので、いわゆる「一般の英国に住む方々」の世界に入り込んだのはかなり後になってからでした。
学校では、どんなことを学ばれたのですか?
日本の薬剤師さんにも似ていますか?
イギリスのハーブ医学校では、西洋薬草について1から学ぶことはもちろん、 近代医学や伝統医学もしっかり学ぶことができました。
現代医学などの知識が必須科目でした。そしてこれを学ぶことができたからこそ、 自然療法のみではなく、治療に対して「何がベストか?」をバランスよく選択できる 知識がついたのだと感じます。
ハーブ以外にも、体調に合わせて自分がなにをすべきかを正しく選択できるように なりたいと、今現在も日々常々願っています。
「診断も行う」という点で薬剤師さんと少し異なるかと思います。
診断は基本「現代医学」の知識をしっかり頭に入れつつも メディカルハーバリストは、「患者さんの自己治癒力と回復力、心身の健康をサポート」 する“ホステリック医学”が思考の基盤です。「病」「症状」だけを診るだけでなく、 その方の体質等も考慮しながら「どんなサポートが必要か?」を見極め、時には 生活改善案、栄養指導などもおこないつつ、適切な薬草(ハーブ)を処方させて頂きます。
実際の留学のご経験を踏まえて、これはやっておいて正解だったな
と思うことはありますか?
自分に必要であろう事柄や知りたいことなどをどんどん周りの人に伝えておいたことが よかったなと思います。そのおかげで、短期間でかなりの学びを得ることができました。
また、イギリス人の先生方とも友人として仲良くさせていただいていたのがラッキー だったなと思います。
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プロフィールを拝見し、
「お医者さんだけに頼るのではなく、生活を自分で管理する」
という内容が印象的でした。
私自身「膠原病」という慢性疾患を患っており、寛解と再発を繰り返しながら 長年生活してきております。
自分の病気と上手く向き合いたいなあ、できたら上手くコントロールして行きたい なあと願い、専門医に通いながら、漢方処方なども数年利用していましたが、 西洋の薬草を利用したときに「もしかしたら自分には向いているのかも?」と いった体調の変化に気がつきました。イギリスでの勉強したことで、より自己 管理の大切さを学びました。
疲れを溜めない、無理をしないなどの当たり前のことから、食生活の改善などで 体調がみるみる変化し調子が良くなりました。「ああそうか。自分の体調は全て ではないけど、自分で管理できる部分もあるんだなぁ」と体験をもって経験してきました。
“全てではないけど管理できる部分がある”というところがキーポイントの
ように感じます。自分の体の声に耳を傾け、自分で管理できるところは管理
できれば、お医者さんにかかることも減るかもしれませんね。
私は「医者嫌い」「病院嫌い」では決してありません。
実際にお医者様には本当に色々お世話になってきましたし尊敬と感謝の思いで 一杯です。治癒する病ではなかったからこそ、お医者さんにもお世話になりつつ 自分の健康は自分で責任を持ち、しっかり付き合いたいなあと思い始めました。
そして、それと同時に、自分の中でポジティブな効果を感じた西洋薬草/ハーブ について、もっと学びたいと思いイギリスの学校に行くことを決めたのです。
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大島さんはメディカルハーブの処方だけでなく「症状の回復だけでなく、
原因の根本解決を目指したトータルケア」もおこなっていると伺いました。
症状を改善するのには何が必要か、をしっかり見極めることが何より大切だと 思っています。患者さんにとって何が必要かを一緒に考え、サポートしています。
運動、食事、睡眠、お風呂の時間など、生活改善が重要になります。
そのほかにはマッサージや鍼灸などのフィジカルなことをおすすめする場合も あります。また、心のお悩みであれば、カウンセリングやセラピーの紹介なども。
ハーブを処方する際も、効能だけに捕らわれず、患者さんの体質や薬草の性質を 考慮するようにしています。
実際にイギリスで生活されてみて、イギリスと日本でのハーブに対する認識
の違いなどはありますか?
日本を離れて久しいので、比べるのが少し難しいですが…日本では、ハーブや 植物療法というものに対して「キレイで可愛く優しいイメージ」が欧米よりも かなり強いのかも?と感じることが多いです。「気軽さ」というのも日本の方が 強いでしょうか?
多分扱う薬草の種類がかなり異なると言ったことが大きいかと思います。
実際、私が英国で頻繁に取り扱うような種類のハーブは日本では「薬/生薬」 としてカテゴリーされているものが多く、専門知識がなく気軽に扱えるものと は言えないです。
日本ですと、嗜好品でも人気があり、割と穏やかな薬効を持つハーブがメイン で売られているので、気軽さや、楽しさといった事を全面に出すことが可能な のかなあと想像できます。ただ、やはり薬草ですので注意事項や禁忌事項はあ りますし、そういった面がうまく伝わっているかを時々心配しております。
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日本ではまだメディカルハーブと聞くと「ちょっと難しそう・・・」と
感じる人も多いかもしれませんが、読者のみなさんが日常的にも取り入れ
やすいハーブがあれば教えてください。
私はお薬が「悪」とは思っていないので、病気の症状がひどい場合はお医者さん に診てもらうのがベターかと思います。ただ、薬を飲むようなことではないが 体調にお悩みがある方(不眠、消化不良、風邪の引き始めなど。)は、ハーブを 活用できるかもしれません。
メディカルハーブは毎日飲まなければいけないのではなく、必要なければいら ないんだ~という気軽さも心の片隅においておくのも良いかと思います。
最後に大島さんにとってメディカルハーブとはなにか?伺えますでしょうか。
私にとってメディカルハーブは人類が数千年という期間使ってきた自然から生み 出された大切な薬用植物でありそれ以上、それ以下でもありません。
縁があり、英国で欧州の薬草や植物療法を学び使うというありがたい経験を 今後も患者様や「植物療法を学びたい」という方々に「自分が伝えられる範囲で」 伝え続けたいと思います。
この度はたくさんの貴重なお話を、本当にありがとうございました‼
目標ややるべきことが明確だったからこそ、本場イギリスでスペシャリスト
として活躍されている大島さん。
その行動力や自己管理、トータルケアに対する考え方など、どれも素敵な
お話ばかりでした。
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<profile>
エコ・大島・バークレー
プロフィール:イギリス・ロンドン在住。愛知県生まれ。
西洋のハーブに興味をもち、地元の専門店で働き始める。
その後さらなる勉強のために渡英し、薬用・芳香植物研究室
での研究、「研修に差し替え願います」英国ハーブ医学校など
でハーブ医学を学ぶ。現在ではメディカルハーブ、アロマテ
ラピー、リフレクソロジーなどを併用した総合セラピーをお
こなっている。